3d4893146707798c77ca13f81acc8daf_coverをめぐる争いはまだまだ続いています。

この巻の最後にいったんの和睦は成るのですが、基本的にこの時代の戦争のほぼすべてが肉弾戦である以上、お互いの兵士の疲弊はそうとうのものになるんですね。

あの奸雄・曹操も、九死に一生を得るような大ピンチに陥るほど。



そんな中、一番のエピソードは、孫堅が、「玉璽」を拾うところです。

いくら光っていたからって、井戸の底に沈んだ死体を引き揚げてまで拾うかね、という気はしますが、なにせ「正統性」が証明されてしまうと言っても過言ではない聖なるハンコ、なんらかの天意あってその手に渡った、というエピソードが創られるなんてことも、さもありなん、という感じではないでしょうか。

しかし、現代まで続く「ハンコ社会」の原点が、ここにあります。

皇帝のハンコは、勅令を出す際に押されるものなので、その命令の正当性を担保するものです。

皇帝が大事なハンコだからと首からいつも下げてぽんぽん押している、ということはないでしょうから、代わりに押す官僚が管理しているんでしょう。

まさにそのハンコを押す係や、ハンコそのものに絶大なる価値と権利が乗り移ってくる。
そして、ハンコが壊れたり機能不全になったら政治的空白が出来てしまうので当然、スペアも制作されるでしょう。



今回流出したハンコは、そのうちのひとつなのではないでしょうか。



しかし命からがら逃げる孫堅が身ひとつになりながらも、ハンコを持っているという、ただそれだけで、「いつか天下に号令してやる!」と豪語できるのがすごい。

そしてもうひとつ。

三国志の中ではそんなに細かく触れられてはいませんが、やはり「周辺諸国」あるいは「異民族」の存在があることを忘れてはならないと思います。

卑弥呼」や「朝鮮」「南蛮」など、周辺の異民族を野蛮と決めつけ、悪い意味の漢字を使って表記する文化を育む中華思想。

さらっとこの巻にも「文醜」という武将が出て来ます。

いくらなんでも、「醜い」なんて字を使わなくても、同じ発音の漢字はあるだろうに、これは、どこかは知りませんが、異民族なんじゃないですかね。

その証拠に、少しだけ変わった甲冑を着けている。

で、その他に、同輩として「顔良」という武将も出て来る。

これはすごいじゃないですか、「顔、良し」ですよ。

それを名前にするくらいなんだから、まさに名は体を表わす。

顔良と文醜左が顔良。右が文醜。

そ、そうでもなかった…。

そして、興奮してたら部下に諌められてしまう董卓ちゃんの小物感が増大。

酔う董卓


怒られる董卓



かりそめの和議のあと、それぞれの思惑が錯綜していく様子がみられます。