さいごの色街 飛田

さいごの色街 飛田 (新潮文庫)

10年以上を費やした、「あの街」の実態。
「さいごの」と言っても、現在も、飛田だけが「そういう街」ではない。
全国に、津々浦々に、「あの街」はある。

当然のようにそれは存続し、興亡を繰り返し、黙認と怒号の中で、人間としての営みの一つだと主張する。

やはり取材は困難を極める。

 

とにかく「ほっといて」。

法律の目をくぐり、警察も検察も「黙認」。
誰も、料理を食べてお話をして30分11000円を払う客がいるなどとは思っていない。

明らかな「売春宿」なのだが、警察は何もしない。
「これと言って取り締まる理由がない」という建前だ。

女の子は生活(金)のためにここにいる。
「料理屋」は、それを助けるためにここにある。
警察は、それらを見守る。

そういう、「法律や憲法などができるよりはるか昔から続く営み」があるから、黙認されているのだ。

「女性の権利」という、イマドキの視点からでは見えないと思う。

でも、「では、お金がふんだんにあったら、この商売をするのか」と言われたら、続ける女性はいないのではないか。

とはいえ、飛田には、「舞い戻ってくる」人も多いらしい。
それは、「そういう性分」「そういう環境」「そういう人がら」だから、だとしか言いようがないだろう。

社会問題といえばそれまでだが、一筋縄ではいかない、杓子定規では何も解決しない、深い「人間の闇」が何十年も、渦巻き続けている地域であることは間違いない。

著者はあとがきで、「冷やかしで行くのはやめてもらいたい」と明言している。

それは、この街で生きる人たちの、誇り・プライド、そして恥・苦しみがないまぜになった感情が、よくわかるからだろう。

著者は女性だてらに、よく粘り強く取材を続けたなと思う。
大阪の人間ならより、わかると思う。
この地域の人間と、多数触れ合うなど、疲れはててしまうのが想像に難くないからだ。

労作だが、そんなに世間では取り上げられないのか。
飛田は、いつまでも「そういう街」なのかもしれない。

 

 

ちなみに、現行法では、売春で逮捕されるのは、「客・店・斡旋した人・命じた人」であって、当の女性は「保護対象」なのだそうである。

 

著者のインタビューページ

http://www.sankei.com/west/news/151130/wst1511300005-n1.html

 

 

 

 

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