陰謀の日本中世史 (角川新書)

陰謀論に与する者は、いつも無知な短絡主義者。

そう、思っていた。
日本の中世史を題材に、
「陰謀論」をもとに組み立てられ「隠された真実」として語られるセンセーショナルな諸説を斬る。

歴史の研究者は、あまりに荒唐無稽な「陰謀論」は、否定すらしない。
膨大なる歴史資料やあたるべきことが多すぎて、あからさまな異説は、反論どころか注意すら払わない。

そんな中、あの「応仁の乱」の呉座氏が、わざわざ食ってかかる。
インタビューでも、「本能寺の変の明智光秀の、動機や内面などどうでもいい」と切って捨てていたw

源平の前、くらいから始まって尊氏、信長、徳川家康で終わる。

最終的に勝った者(頼朝、尊氏、家康)が、すべてを見通し計画を立て、それらが全て上手くいってことを為した、というような短絡が「陰謀論」を生む。

現在を生きていても、財閥や権力者が描いた絵図の通りに世界は動いていると、信じる者たちは多い。

それが、歴史の感覚を狂わせ、
人を見る目を誤らせ、
人生の楽しみを損なわせているのではないか。

そう、思わせてくれた。

とは言いながら、とんでもない資料が(著者が指摘するように、イエズス会の、ポルトガル語で書かれた日記などはまだ翻訳されていないものも多数あるらしい)が発見されて、驚きの陰謀史観が、現実のものになる日がくるかもしれないが。