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僕らは今、どの辺にいるんだろ?

感覚を疑え!

皮肉を理解して次のステップへ進もう!

投稿日:2016年4月10日 更新日:

皮肉って使いますか?
アイロニー、と言ってしまっていいのか。
 
これ、ぜんっぜん理解してない人って、ほんとにいる。
けっこういる、と言ってもいいだろう。
 
「皮肉」という言葉は知ってるけど、どういうところで実際に使われているかが、ぜんぜんわかってない。
 
今日は少しだけそのニュアンスを広げて、書いてみたいと思う。

いえ、分かってないのはほんの一部の「利口ぶったバカ」だけだと思う。

たとえば、 「子供は親を選べない!」というやつ。

子供は親を選べない

どんなにヒドイ親であっても、子からすれば親は親、悲しいもんだよ子供って、と。
「誰が産んでくれっつったよ!!」なんて、非行少年の常套句だったりして。

これを、そのままの意味で受け取っちゃいけない!!

皮肉ですよヒ・ニ・ク!!

 

furyo_shounen

子供が親を選べるわけないだろうお、当たり前です。
親だって、育てはできるけど子供を選べはしないんだから。
どっかからサラってこない限り。
選べるのは「産むか」「産まないか」だけ。
「この子かどうか」までは選べない。

だから親と子で条件は、実はほぼ対等なのだ。

でも子供からしてみれば、親よ、ちゃんとしておくれよ!という嘆きになる。
自分の生への、やり場のない怒り。

しかし大人からすれば 「子供は親を選べない!」と言われたら「そうだな、どんな悪ガキであっても、この子のために、しっかりしてやらないと!」という戒(いまし)めにつながるわけだ。

主眼は、大人にある。
つまりこの言葉、製作者は大人なわけだ。
 
大人が、 しっかりしましょうや、と、自分たちに向けて放った皮肉。

こどもの「人権宣言」などではない。

それを言葉のまままに受けて「選べないんだ!子供は!悲しい!」などと感じている人がもし、万が一、あなたの周りにいたら、優しく言ってあげよう。

「大人になれればいいですね」と。

ファンが芸人を育てる

あと、 「ファンが芸人を育てる」。

これ、劇場でじっさいに耳にしたことのある言葉だ。
上の例を読んだあなたは、もう理解してくれてるね?

皮肉ですよ、ヒ・ニ・ク!!

ファンと芸人の関係は、すでに誰でも知っている距離感だから、問題は「育てる」の部分なのだ。

普通は、育てる方が上位で、育てられる方が下位だ。
養われてる、に近いニュアンス。

しかしこの「ファンが芸人を育てる」が、劇場で払う木戸銭や乱発されるDVD購入費による芸人の生活の安定、でないことはもう、おわかりだろう。

「芸人を育てる」とは「芸を磨かせる」ことだ。

 

manzai

では、「磨かせる」とはなんなんでしょうか。

 ずばり「笑わない事」だと思うのだ。

あっ、しばらく「皮肉」からは脱線します。

故・中島らもさんの言葉に「くちあき」というのがあるように記憶している。
 
「くちあき」という存在。

「くちあき」は、とにかく、好きな芸人さんが登場したら、なにもなくてもゲラゲラ笑う。

普通の時は最低限、クチを開いている。そういうファン。
面白くなくても笑うのが 「くちあき」だそうだ。

それでは、優れた芸人は育たないと。
最初からキャーキャー言われてしまう芸人は、先へいって必ずポシャると。

だから真にお笑いが好きで、特定の芸人さんを応援したいと考える立派なファンの人は、「それはさすがにおもしろくないだろう」と誰もが思う場面では、笑わないのが正しいんだと。

する、よほど鈍感な芸人でも 「ゲ、あの人ですら笑ってない!なんでだ!!??」と、次回からはさらなる工夫をする、と。
 
それを繰り返して、芸人は育っていく、と。

このあたり、 少しややこしいが、「ファン」というのは「笑う人たち」なのだ。
その「笑うひとたち」が「笑わない」ことで芸人が育つ。

長い間、立場がはっきりし続けるのは、芸人の方だけ。
ファンは、いつでもファンを辞められるから。

だから「芸人がファンに育てられる」ことは、実はそう多くない。
育つほどには、同じ場所にお互いがいない関係だから。

しかしいつも入れ替わるファンに、いつも緊張感を与えてもらうのが芸人。
おのずと、育てられてしまうわけだ。

しかも「笑うはずの人」が「笑わない」という現象によって。

だんだん「皮肉」に戻ってきてるよ。

ぼーっとしててもらっちゃ困りますよww

 

「ファンが芸人を育てる」は「皮肉」なのだ。
芸人が育つのは「ウケない時」の後。
工夫を凝らすその努力のことだ。

だから「笑わないこと」をも愛情として表現できる人が真のファンである。

しかし実態はどうだろう。

ファンと呼ばれる人たちはみな、ただ騒ぎ、「くちあき」なだけ。

それでは本当は、ダメだろう。

悲しいかなほとんどが、そういう状況だと思う。

だから 「ファンが芸人を育てる」は、現状を嘆く皮肉な言葉なんだな。

ほんとはそうあるべきなのに、なにやってんだ、ファンのやつら、なにやってんだ、そして甘えた芸人たちめ、という思いが、双方に向かって込められてる。

 決して 「ファンがいてこそ芸人は成り立つ」「ファンの方が偉い」という意味ではない、ということを知るべきである。

 
だからファンがフンゾリ返る理由にもならないし、芸人が怒る理由にもならない。

皮肉を理解しなければいけない。

お店のトイレの張り紙

もうひとつ分かりやすい例は、お店のトイレの張り紙。

「いつも奇麗に使っていただき、ありがとうございます」 あれって、本気の御礼じゃない。

「奇麗に使えよ!」という皮肉だ。

「汚さずに使ってください」とあからさまに注意するよりは、柔らかい表現になる。

しかし、ほんとにいつも奇麗に全員のお客さんが使っているのなら、トイレは汚れない。
それがもし当たり前ならば、特に御礼も必要ない。

 だからあの張り紙があるということはすなわち、 「汚すフトドキ者がいます。ヨロシク」という意味になる。

 

皮肉は、非常におもしろい。

気づかない人は、その文面どおり受け取ってしまうものだから、バカにされてるのにも気づかない。

toilet_souji

 

 

「皮引きゃ身引く」の例えもありますが、言葉はしばらく、ぢーっとひとつ向こうの意味まで考えないと、面白さは見えてこないようだ。

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