「MUSIC VIDEO」、
つまりこれは、「メタ表現」というやつなんだな。
「ミュージックビデオにありがちな表現」、という言い方でこのPVに対して、なんだか論評としてはその内容を、「ありがちで陳腐なものを茶化している」とでも言いたげなものが多いけど。
じゃあ、お前これやってみろよ、と思う。
あらゆるミュージックビデオには予算があるし、アイデアの限界があるし、アーティストの意向もある。
「おもしろい」から、と言って、みながこういう「メタ表現」ができるわけではない。
陳腐でも、それが望まれている、という暗黙の了解から、踏襲されてきた技法・表現。
それを、すべて並列化してみせた、岡崎体育の「MUSIC VIDEO」。
これを一度、こうやって完成させられると、今度はそれをやったら「知らないからこその度胸」みたいな、変な文脈で語られることになるし。
いやちょっと待て、と。
この「MUSIC VIDEO」、「MUSIC VIDEO」という曲名なんですけど、曲じたい、すごくいいよ?
別に、ミュージックビデオを題材にしなくても、歌詞を変えれば素晴らしいポップな曲になる。もちろん、「曲も、いろんな要素を盛り込んだメタ表現だよね?」と言うことはできるだろう。
それを言い出したら、現代の曲は全部そうだろう…し…
「ジャンル」というくくり方ができる時点で、それは「カテゴリー分け」されている。分けられる、ということは、分ける主体がいるということ。
これはこっち、これはあっち、と分けることができる人がいる。
その時点で、観点として上位な存在がいるということになる。
「MUSIC VIDEO」が素晴らしいのはまずその曲、そしてメロディ、
プラス、MVを制作している姿勢、ではないだろうか。
話題にならないわけがない。
ここまで作ると、「こういうメタ視点を持った人だ」という風に勘繰られすぎて、今後どんなメジャーな作品を作ろうとしても
「これはなにを抽象視してるんだ!!??」
と思われかねないよね。
それは、宿命か。才能あるから大丈夫か。
ちゃんと、かっこいい曲ある。
スペツナズ。とか。
※ちなみにスペツナズとは、ソ連の特殊部隊のことである。