1969年の作品。
今やすっかり初作のゴジラの雰囲気は消え去り、特撮や特殊効果・合成の迫力が増すのに比例するように、ゴジラは親しみやすい少しユルいキャラを、確立していきます。
それには「ミニラ」の存在も大きんですよね。
思いっきり子供向けに振った設定(勇気ある少年の夢想が中心)の割り、興行成績は伸びなかったようです。
もう、ゴジラは東京や都市は襲わず、島の中でなんの理由もなく他の怪獣と戦ったりします。
各怪獣、それぞれ単独の個体だけしか生存してなくて、なわばり争いでもなさそうなんですが…。
もはやゴジラにまつわる「水爆実験」とか「アメリカ軍のメタファー」とかはなりを潜めています。
その代わり、と言ってはなんですが、オープニングの凄まじいテーマソングで度肝を抜かれます。
「怪獣マーチ」
歌詞にも出てきますが、「モーレツ」っていう言葉、
丸善石油(現コスモ石油)のCMで使われて、凄まじい流行語になったみたいですね。
子供が使う大人が使う、ちょっと強引にでも使う。
「モーレツ」という単語をとにかく出すのだ!出しときゃいいのだ!!という流行への意気込みが感じられるほどですwww
舞台は川崎。
つまり京浜工業地帯。
当時の世相を色濃く映し、「公害」「鍵っ子」「自動誘拐」がサイドストーリーとして展開されます。
いや、サイドというか…怪獣パートはすべて夢想ですから…。
怪獣を出すのに、もう理由がないというか。
社会的な大問題であった怪獣が、問題を解決するべく登場する、みたいなパラドックスが起き始めていますw
そしてその社会派テーマは自作、「ゴジラ対ヘドラ」に持ち越され、昇華することになるわけですね…。
娯楽作品はやはり、世相を映す鏡。
この「ゴジラ・ミニラ・ガバラ オール怪獣大進撃」と同時上映されたのは、『コント55号 宇宙大冒険』『巨人の星 ゆけゆけ飛雄馬』。
そっちの方も面白そうやんけ。
ゴジラシリーズは、Huluにぜんぶあります。