などという風に、
「ある意味」
という言葉を聞く事がある。けっこう、よく耳にする。
ただ単にひっかかりすぎなのかもしれないけど、「どの意味だ!」と、心の中で必ず言ってしまう。必ず。
そして、そこから少しだけ考えてみて、その「ある意味」が、実はなんの意味もないことがすぐ判明する。
そう、その「ある意味〜」を多用する彼(彼女)は、たくさんある「意味」の中で
「ある一定の意味合いをもって、」という使い方で
「ある意味」と言っているのではない、ということだ。
たとえば、歩いている他人を指差して
「あの人、ある意味すごいよ」と言われたらこれは、決して必ずしも褒めているのはないという感じ。
服装がヘンテコとか髪型が奇抜とかではなく、見た目一発でそのすごさ(変さ?)を説明できないからこそ、
「ある意味」はつけられるのだと思われる。
しかしながら頻繁に「ある意味」を使う人は、道行く人の単に「見た目がすごい」という、誰もがひとめでわかる単純極まりない一点だけをピンポイントで指摘しているだけなのに「ある意味すごい」という、自分が多様な意味合いを一瞬で把握した深い人間かのように思わせたいだけの、浅い浅い意見を述べる。
「ある意味」をよく使う人は、その「ある意味」が、なにを指しているのかを自分でもまったくわかっていないのだ。
だから「ある意味いちばん好きかも」とか言った直後に、こちらから
「え?どの意味で?普通に好きなんじゃなくて?どんな意味で?どの意味で?」
と聞きまくってやれば、ものすごく困るはずです。険悪にすら、なると思います。
ストレートに物事を言いたくない曖昧人間にとって、あるいは自分を思慮深く知識豊富人間に見せたい思慮浅い無知人間にとって、
「ある意味」は大変便利だということだ。
「てゆうか」も同じです
なにも言ってないのに「てゆーか」と話し始める人に「え?なにを言うか?なにか言った?なんてゆーか?」と聞きまくってやれば、たぶん、その質問の意味もわかってもらえないんじゃないかと。
そういう類の、軽さがあ流のだ。
もともと「ある意味」は、ストレートに一点集中の意見を言いたくない時に使える言葉なのだろう。
そして少し皮肉めいた表現に便利。
「北朝鮮は、ある意味完成された政治形態である」とか。
「上島竜兵氏(ダチョウ倶楽部)は、ある意味とてもカッコイイ」とか。
褒めているのかけなしているのか分からなくさせる効果を少し持つ。
ある意味、万能な言葉。
…と、書いたら、“ぜんぜん万能じゃない”という欠点を、隠せてしまいながら褒めてしまえるのだ。
やはり今後の課題は、使用する人を追い込んでしまうと険悪になってしまう、という部分の改善にある。