第22作までの「平成ゴジラシリーズ」は、一貫した世界観で続いていました。
だから同じ人物が連続して出演していましたし、ゴジラに対する政府の施策も、一貫していたんですね。
この作品は、一旦それをチャラにしましてw
この「ミレニアム」は、2016年の「シン・ゴジラ」に通づる表現や設定が各所に見られます。
阿部寛は内閣官房副長官。危機管理情報局長。
「シン・ゴジラ」の長谷川博己も内閣官房副長官。
ちょっと似てますね。
日本の政治を描く気、が少しある。
阿部寛の存在感はすごいんですが、やはり独断専行のアンチヒーロー的な役割になってしまい、説明や葛藤が奥底までは描かれていない。
なぜ、自裁したのかまでは忖度するしかありません。
そしてゴジラのデザインも一新。
動きやすそうなスポーティ(?)な、細身のヴィジュアルになってる。
爬虫類っぽさが増してる。
なんでこんな生き物が?
なんで日本に!?
という謎と恐怖、破壊と畏怖、を改めて表現しようとしている意欲を感じますね。
先ほど、あの設定はチャラに、と書きましたが、すごくナチュラルに「ゴジラは…」と名前がさらっとセリフとして出てきます。
やっぱり「ゴジラのいる世界」なんですね。
人類が、ゴジラ初見ではない世界。
でも、ゴジラを「リスク」と捉え、被害を最小限に抑えようとする考え方。
それなら「ゴジラが原発を壊したらどうなるの!?」とか言ってないで、もっと施設を地下化しろよ、と思います。
ぜんぜん抜本的なことやってないんだな、と。
原発だけでなく、ゴジラは海から上がってくるってわかってるんだから、沿岸部に火力発電所を並べるのだって相当危険なことだと思いますしね。
根室に続き、茨城へ上陸するゴジラ。
完全な駆除もできず、甚大な被害が出て、自軍(自衛隊)では限界がある。
ゴジラ問題は過去、常に有事の日本の防衛について課題を突きつけてきたはずなんですが、なぜか今まで、何の明確な答えも得られずにきている。
「科学の暴走が生んだ…」とか、言うしかない。
どうしようもなかったゴジラなんですが、「どうにか、しようはある」という思考を突き詰めたのが「シン・ゴジラ」ではないか、とも思えてきます。
結局、これは「国家防衛」なのか。
「安全保障問題」なのか。
なら、米軍との距離感はどうなるのか。
「宇宙の巨石」がゴジラの対比物として描かれますが、まだ地球に太陽の光がしっかり届いていない時代に海底に沈んだ、っていう設定はワクワクしますね。
ラストに怪獣化するのは「それ退化じゃん」と言わざるを得ないですが。
村田雄浩さんの芝居が素晴らしくて、感動しています。
Huluに全部ある、ありがたさ。