こんな本だったのか!!!!
よくある、アラサー以上の、こじらせた、露悪的な、でも目立ちたいから何か書きたい女の、自己顕示欲がエロ方向に振り切ったエッセイ集、だと思っていた。そう思って敬遠している人は、まだまだ多いかも知れない。
タイトルがタイトルだけに、手に取りにくい人もいるだろう。
通販で、思い切って買うべきだと思う。
こんなにも苦しい、自分と、夫と、周りと、子供らと、人生の物語。
共感する部分は、きっと誰にでもあるのだと思う。
取り戻せない過去と、これから選び取る未来と。
その切なさ、刹那さは、固有のものだけれど、秘密とともに、これからも胸のうちで温まっていく。
寂しさと、友愛と、苦しさと、愛おしさと。
それは明晰であるがゆえにストレスとなり、緩慢であるがゆえにいつまでも尾を引く。
社会のどこかで、こんな思いの人がいる。
助けてはあげられないけど、なんとかならないものか…そう思わせる。
タイトル!
タイトルがタイトルであるがゆえに手に取ったのではあるが、手にさえ取れない人がいるのも、これまたタイトルのせいである。
タイトルやネーミングについて、タブーや人気について、にすら無言で問題提起をしているように思える。
トータル的に、本当に傑作だと思う。
目に飛び込んでこない装丁の工夫も、素晴らしい。
本当に「夫の」だったんだな…。