袁術が死んだ。
最期は、自国領の民に一杯の水も恵んでもらえぬ、 完全に見放された無惨な死。
これでまた、少し情勢が変わっていく。
曹操は人臣位を極め、目に余る専横。
帝をないがしろにする振る舞いで、多くの反感を買い始める。
でも武力の強さで、誰も表立って文句を言えない状態。
そんな中、少しくらい嫌な目にあっても、耐えまくる劉備玄徳。
急いてはことをし損じる、と自分や関羽に言い聞かせて、耐えまくる。
このあたり、あまり直情的に戦ったりしないので、「啼くまで待とうホトトギス」な、徳川家康のモデルを感じる。
で、劉備玄徳が皇帝の前で出自を明かし、皇帝の血縁だと知れてから、曹操の、玄徳への警戒は普通レベルではなくなっていく。
反抗の意志を気取られないように玄徳は、アホウのように農作業に没頭。
関羽や張飛も心配するほどのレベルで。
そして直接、曹操に招かれた時も、わざとアホウのように雷を恐れたフリをします。
警戒心を持たれないように、暗愚を装ったのだ。
あの、討ち入り前に味方をも欺いて放蕩三昧をしていた、 赤穂浪士・大石内蔵助のように。
そういう「エピソードの雛形」のようなものが、 あちこちに散見されるというのも、 三国志の魅力のひとつかもしれない。