エリートサラリーマンの夫、美人で完璧な妻、そして可愛い一人娘の田向(たこう)一家。絵に描いたように幸せな家族を襲った一家惨殺事件は迷宮入りしたまま一年が過ぎた。週刊誌の記者である田中は、改めて事件の真相に迫ろうと取材を開始する。殺害された夫・田向浩樹の会社同僚の渡辺正人。 妻・友希恵の大学同期であった宮村淳子。 その淳子の恋人であった尾形孝之。そして、大学時代の浩樹と付き合っていた稲村恵美。ところが、関係者たちの証言から浮かび上がってきたのは、理想的と思われた夫婦の見た目からはかけ離れた実像、そして、証言者たち自らの思いもよらない姿であった。その一方で、田中も問題を抱えている。妹の光子が育児放棄の疑いで逮捕されていたのだ–。
全員に共通する「近日中に会ってたやつ」の目撃証言を取れば、犯人ってすぐわかってしまうと思うんだけど…。なぜかそこはバレないんだな…。
それぞれに、問題と恨みと野心を抱えて、結局ハッピーエンドには向かえない人たち。
だけど本当は、「そこで、殺したりしない(できない)」からつらいのが現実であって、簡単に殴り殺していいんなら、人生はもっと簡潔だろう。
美人で恵まれていて幸せな家庭を持っている女性。
恨みが周りに集まろうが、それを吹き飛ばして幸せになっている女性。
なんの解決もなっていないが、「もうだめか」という思いは、誰にだってある。
狂気の独白。