聖母マリアやエヴァと並んで、マグダラのマリアは、西洋世界で最もポピュラーな女性である。娼婦であった彼女は、悔悛して、キリストの磔刑、埋葬、復活に立ち会い、「使徒のなかの使徒」と呼ばれた。両極端ともいえる体験をもつため、その後の芸術表現において、多様な解釈や表象を与えられてきた。貞節にして淫ら、美しくてしかも神聖な、“娼婦=聖女”が辿った数奇な運命を芸術作品から読み解く。図像資料多数収載。
聖女として扱われる人。
キリストとセットで宗教画に描かれる人。
堕落と悔悟、その二面性を表現するアイコンとして、敬虔を惹起する女。
芸術の歴史として、教会への反抗心を含め、画家たちが挑戦してきた女性。
豊富な資料と分析で、ヨーロッパで扱われてきた「マグダラのマリア」について、知ることができる。