万延元年、時の大老・井伊直弼の開国強行策に反対する水戸浪士・星野監物、以下三十数名が、井伊の暗殺を企てる。井伊大老が妾に産ませた子・新納鶴千代は、一攫千金、立身出世の打算から水戸浪士の一味に加わり、実父とは知らぬまま桜田門で井伊直弼の首を落とす。雪の降りしきる桜田門での集団殺陣は、名殺陣師・久世竜の迫真の剣法と岡本喜八監督の十八番、スピーディーなカッティングによって生み出された見応え十分の豪快なシーンとなった。
ラストの桜田門外での襲撃・乱闘は、現代でも難しいだろうと思えるほどの迫力。
CGも何もなしでこれを撮ったのはすごい。
いわば「幕末フィクション」だが、三船敏郎の迫力はモノクロだからこそ活きる、とも思わせてくれる。
変の後、どうなったかはわからないが、主人公・新納鶴千代は剣豪のくせに荒れてて、自分の出生の秘密を知らないまま生きていくのだろうか。
いや、桜田門外の変の参加者が史実ではそれぞれ、切腹させられたり討ち取られたりしているはずだから、我が父・井伊直弼の首を掲げては見たものの、やはり殺されたのだろう。
虚しくもはかない、激動の時代の裏話。