時は1962年、ニューヨークの一流ナイトクラブ、コパカバーナで用心棒を務めるトニー・リップは、ガサツで無学だが、腕っぷしとハッタリで家族や周囲に頼りにされていた。ある日、トニーは、黒人ピアニストの運転手としてスカウトされる。彼の名前はドクター・シャーリー、カーネギーホールを住処とし、ホワイトハウスでも演奏したほどの天才は、なぜか差別の色濃い南部での演奏ツアーを目論んでいた。二人は、〈黒人用旅行ガイド=グリーンブック〉を頼りに、出発するのだが─。
とても良い映画だった。
しっかりと抑えられ、語られ、響かせている。
60年代のアメリカ、しかも南部ともなれば、黒人差別が「当たり前」の時代。
いくら先進的な人でも、「自分が白人であるならば、黒人は虐げてもいい」と無邪気に信じて良い時代。
そんな中、実在のピアニスト、ドク・シャーリーは、あえて南部へ演奏旅行に出る。
それが持つ意味とは。
そして戦いとは。
勝利とは。
トニー役のヴィゴ・モーテンセンはこの撮影のために、「かなり無理に太った」らしい。役作りは功を奏して、少し粗暴だが優しい男を表現している。
良い映画だ。
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