お探し物は、本ですか?仕事ですか?人生ですか?悩める人々が立ち寄った小さな図書室。不愛想だけど聞き上手な司書さんが思いもよらない選書と可愛い付録で人生を後押しします。『木曜日にはココアを』の著者が贈る、明日への活力が満ちていくハートウォーミング小説。
「ハートウォーミング小説」なんて説明されると、なんだ、甘ったるい女子が好むような緩い話か…と思ってしまうが、読み進めていくと、じんわり、じっくり、自分の心にも棘が刺さっていることに気付かされる。
自分で見つける。
図書室・図書館なんて長らく行っていないけど、物語に出てくるような司書さんはたぶん実際にはどこにもいないのだろうけど、探し物が見つからないと悩み・苦しんでいる俺たちが、見つけるべきものはまず「何を探してるんだろう」という乾きだ。
嘆いても、叫んでも誰も助けてはくれない。
助けはあっても、最後に一歩、足を前へ出すのは自分だから。
優しさと同時にある厳しさ。
身近さの中にある距離感。
日々を暮らす中、二度とすれ違うことのないような人たちの中にある、ありふれているけど、かけがえないドラマ。
そんな小さなドラマなら、自分にもきっとある。
そしてそのドラマが成熟するきっかけは、本当に、近所の図書室にあるのかも知れない。
本当にそう思わせてくれる、ハートウォーミング小説だ。