好きな噺(はなし)。
市井に生きる江戸(時代)の庶民の、ほとんど最下層に属する「かつぎの油屋」と、一点の曇りなく最高位・帝(天皇)までが登場する、京都ならではの噺。
私見だが、この噺のおもしろポイントは間違いなく、
「油屋」の発する
「千両で!?」
と、
「さよか!!」なのだ。
このポイントで面白くないとしたら、その噺家がおもしろくないのだ。
というか、面白さをわかっていないまま、噺をやってる。
ただ覚えてるだけ、っていうやつだな。
噺の中で興味深いのは
「水が漏るという器」
の噂で持ち切りになるという、御所内の空気。
くだらんものをありがたがるという、現代でも残っているような「いい身分の人々の感覚」。
なによりサゲ(オチ)が素晴らしい。
噺家の人柄によっては非常にやりにくい噺らしい。
なにせ、ほんの5秒ほどでも「帝」を演じなければならない。
この噺の原型ができたであろう時代。
皇族などは、お話などで出てくるだけの、もはや「伝説上の人物」。
実存が感じられる庶民など皆無だっただろう。
そうでなくても貴族が出てくる。
その時代感と、京都の豊かな町人の雰囲気が伝わってくるようで、好きだ。
しかし冒頭部分の茶店でのやりとりにある、「油屋だから滑って(茶碗を)割ったと言えば通るぞ」
という論理、
通るかねえwwww!?