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そう、三国志

三国志/第三巻「タマなしに操られる大国」

投稿日:2013年8月3日 更新日:

 

 

ぶんこの壮大なサーガ(?)の中で唯一と言っていい、 一瞬玄徳がふぬけになる瞬間が見える巻です。

芙蓉姫という美女との、つかの間の蜜月。

それでも関羽らに諭されると 「いや、だいじょうぶ」と猛スピードで立ち直る賢者ぶり。

 

 

出会いや境遇は運命を感じて 愛を育むに充分な環境なんですけど、

その立ち直りのスピード感は絶品です。

さすが英雄。

そしてもう二度と会わないんですね。

このあたり、やはり主人公には「英雄色を好む」のセオリーを ぜんぜん当てはめてくれないんで、 艶っぽさが皆無なんですが、あっさりしてて好きです。

なんだかヨーロッパの物語(アンナカレーニナとか) みたいに、ドロドロさせないっていうか、 わざと避けてるようにすら思える。

完全に天下がダメな方へ流れて行く様を描いてます、 騒乱への前振り。

 

宮廷はもはや宦官の巣窟。

十常侍、と呼ばれた宦官の権勢が異様に突出し、

その後、曹操が建てた「」では 宦官が重用されなくなるという展開を生むほどの 腐敗(そのあとの「」ではまた復活)。

宦官というのは、 もともとは中原の民族以外の捕虜に施した処置で、 考えてみればそうですね、 他民族だからこそ、

『民族浄化』『根絶やし』 意味を込めて男根を切除なんてことが出来る。

中東やエジプトにもその風習があったそうです。

 

日本では、敵国と言っても

闘う相手は国内限定で民族としては同種ですから、

陰部除去という方法は広まらなかったんです。

で、なぜかそれが後に 「立身出世の方法」として広く知られるようになる。

そう、もはや貧民は、 いくらがんばっても絶対に富貴なレベルには 達しないことが明白なんです。 そしてそれは、子々孫々永久にそう。 それなら、一念発起で切除し、 宦官になってがんばった方が、まだ可能性はゼロではない。 切らなければ、可能性はゼロ、という社会。

 

なので、自分で切って来る輩もずいぶんいたとか。

なにぶん昔なんで、なかなかの荒っぽさだったようです。

もちろん、生存率は100%じゃない。

なので、たいていの宦官は、 権力を握ったらとうぜんのように私腹を肥やします。 それが目的といえば目的なので、本能とも言える。

そして皇帝に「父、あるいは母」と呼ばれるくらいの 親近感を持って接せられている存在ですから、 権力がさらに集中してくる。

 

宦官のせいで倒れた王朝が、いくつもある。

宦官は重用されたりされなかったり、

その時の王権によっていろいろですが、 これを根絶しようとした皇帝はいなかったようです。

それだけ、政権運営とは 切っても切れない関係だったということでしょうか。

 

最後には、おじいちゃんともおばあちゃんともいえないような風貌になるそうですが。

 

混乱をとりあえず収拾したものが時の権力をいったん握る、 という状況が続く、混乱の後漢。

 

戦乱の英雄が、この時点では 誰になるかは同時代には誰にもわからない。

 

よりいっそう、めちゃくちゃに国土が荒れていきます。

なんとか義勇軍としての働きを認められ、

地方の役人に任ぜられるも、

「枳棘は鸞鳳の棲む所にあらず」 との関羽の名言により、

さらなる大志のために旅立つ玄徳。

くきょくは、らんぽうのすむところにあらず。

 

 

 

ところで、横山光輝先生の故郷・兵庫県神戸では、 毎年、三国志祭が行なわれています。

10月に開催されるようで、 武術大会の参加者を募集しています。 http://www.sangoku-maturi.com/

 

 

-そう、三国志
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