1962年公開。
カラーです。
2作目「ゴジラの逆襲」から7年を経てあ、飛躍的に娯楽色を強めていますね。
登場人物にも明るさが宿り、コメディタッチな描写も多々見られます。
特撮の技術も迫力も、前作までとは比ぶべくもないほどに飛躍的に向上していて、当時スクリーンで見た人は大タコの凄さなどにも、度肝を抜かれたのではないでしょうか。
空前のヒットとなった今回は、「バーベキューにされないように気をつけろよ」というセリフとともに、「未開の民族」がすごい偏見とともに描かれていますwww
酋長(以下、全員日本人ですw)にはカタカナ英語が通じてる。
とにかく、時代です。
そこにトランジスタラジオを持ってくる。
普通は電波、入らんだろ…。
そこから聞こえる日本の歌は、「クロンボ」だのなんだのと、それなりの内容だったりします。
とにかく、時代です。
ちなみに、公民権運動の星・キング牧師が暗殺されたのは、1968年。
キングコング自体はアメリカでは1933年から作られていたそうで、その、いわば「怪獣」に、日本の怪獣が追いついてきた、という感じではないでしょうか。
穿(うが)った見方をすれば、「日米の怪獣による代理戦争」という暗喩が隠されていると言えるのではないでしょうか。
それにしても高島忠夫さんの軽妙な演技。
スターの貫録を感じます。
ひょっとするとアメリカの「キングコング」というキャラの商標の使用許可を得た段階で、「ゴジラとぶつける」という空前の企画が持ち上がったのではないでしょうか。東宝はは5年間で8000万円を支払ったとか。すごい。
「キングコング対ゴジラ」と、ゴジラが後ろ。
ホーム感をキングコングに譲って、花を持たせています。
アメリカでも公開されることを見越しての作戦でしょうか。
あのシリアスな第一作、「核のメタファー」としてのゴジラは影を潜め、あくまで「大怪獣」、それも日本を守る側と言っていい、親しみやすいゴジラとして、人気キャラクターを確立してゆくきっかけになる今作です。
その証拠にこの「キングコング対ゴジラ」、なんと1255万人も動員してしまうのです。
カラーにもなり、タッチも変わり、日本が、「戦後の薄暗い芸能」から「明るくアメリカナイズされたエンターテインメント」へ踏み出していく、まさしく金字塔的な作品なのでしょう。
時代を追う、という意味ではゴジラ作品群、すごく意味のあるものなのですね。
そして次に、とうとうモスラが出てくるわけですか…。