突如現れた彗星の破片が隕石となり地球に衝突。平和な日常は一瞬で吹き飛んだ。各国の大都市が破壊され、更なる巨大隕石による世界崩壊まで残り48時間に迫る中、政府に選ばれた人々の避難が始まり、建築技師の能力を見込まれたジョン・ギャリティ(ジェラルド・バトラー)と、その妻、アリソン(モリーナ・バッカリン)と息子のネイサン(ロジャー・デイル・フロイド)も避難所を目指して輸送機に駆けつけた。しかし、離陸直前にネイサンの持病により受け入れを拒否され、家族は離れ離れになってしまう。ジョンが必死で妻子を探す中、誘拐されて医療処置を必要としているネイサンの救出に走るアリソン。人々がパニックに陥って無法地帯と化していく状況と闘いながら、生き残る道を探すギャリティ一家は、やがて人間の善と悪を目の当たりにする…。
現代社会において直面する多くの問題を反映しており、それらの問題に対する警鐘を鳴らすと同時に、人間の生命の尊さと家族の愛について深く考えさせられる作品。
本作品が描く大惨事は、隕石の衝突による地球滅亡というもの。
これは、現代社会が直面する環境問題や気候変動という大きな問題に直結しており、私たちが生きる地球が危険にさらされていることを強く訴えかけるものだ。
また、地球規模の災害が起こった場合、国家や政治的な枠組みは崩壊し、人々は自己防衛に追われることになる。人間の本能的な欲求や感情が、極限状態に追い込まれたときにどう変化するかをリアルに描写しており、そこには私たち自身の姿を見出すことができる。
そして、本作品が力強く描くのは、人間の生命の尊さと家族の愛である。主人公の家族は、この地球滅亡の危機に直面したとき、自分たちが大切にしているものを見つめ直すことになる。生命の危険が迫る中で、主人公は妻と息子を救うために必死に戦い続ける。そこには、愛と犠牲の精神が込められており、私たちにとって何が本当に大切なのかを考えさせられる。
また、主人公の妻もまた、自分自身を犠牲にして家族を守ろうとする強い意志が描かれており、女性の力強さや愛情の深さが印象的である。
さらに、政府や軍が迅速かつ効果的に危機対応を行えず、個人や家族が自己防衛に追われる姿勢を描いている。現実世界でも、災害が発生した際には、政府や軍の対応が追いつかないことがある。それらの現実をリアルに描写することで、個人が自己防衛の手段を身につけることの重要性を訴えかけている。
また、政府や軍が完全に機能しなくなったとき、私たちは互いに協力し、共同して生き残らなければならないことを示している。
演出や撮影も素晴らしい。
特に、隕石が衝突するシーンは迫力があり、目を奪われるような美しさがある。
音楽も物語の展開に合わせて効果的に使われており、物語に臨場感を与えている。
しかし、本作品には改善してほしい点もある。
ストーリー展開が予測しやすく、予想通りの展開が続くため、観客の興味を引き続けることができない部分がある。また、隕石の衝突による地球滅亡という、よくあるパターンの設定であるため、オリジナリティに欠けるという意見にもうなづける。
『グリーンランド―地球最後の2日間―』は、現代社会に直面する問題に対する警鐘を鳴らし、人間の生命の尊さと家族の愛について深く考えさせる作品であると言える。また、演出や撮影も素晴らしく、臨場感を与える音楽も効果的に使われている。
私たちは自分たちが抱える問題に向き合い、それを解決するために何が必要なのか、自己防衛の重要性や家族の愛の大切さを再確認することができる。