女帝といえば称徳天皇、称徳といえば道鏡、道鏡といえば巨…
いやいや、女性ならではの立場の差、を、現代的な視点で「ジェンダー」を用いて語ることの陳腐さも、本書ではきちんと釘を刺されています。
宇佐八幡神託事件がかすんでしまうほど、女帝6代の、状況の苛烈さは想像しがたいものがありますね。
その時代、資料の少なさから想起されるロマン。
悠久の歴史、という言い方も出来ますが、時代を経て、今もその制度が残っているということの凄さ、凄みのようなものを感じます。
嫡流を尊重する「不改常典」という考え方、
それが守られることすらも、
武力や財力などを担保にした「権力」の裏付けが必要なわけで、
王権としての運営能力が、かたまりつつあった過渡期の古代日本のありようが、
その後、女帝が現れてこなかったことでもわかるのであります。
今、語られる「女性天皇」。
役割と経緯と「皇室典範」、つまり現代の「不改常典」について、
もっと議論さればければならないのでしょうね。
徳間書店
売り上げランキング: 518,957
日本を千年王国にした女性・持統天皇1: 天皇家存続の背後にある持統の強烈な意志(月聖出版)
売り上げランキング: 55,916