雑居ビルの4階に位置したデリヘル。バブルを彷彿とさせるような内装の部屋で、さまざまな女性が肩を寄せ合って客待ちをしている。入店したばかりのカノウはそれを見て、小学生の頃にクラス会でやった『カチカチ山』を思い出す。みんな可愛らしいウサギにばかり夢中になる。嫌われ者のタヌキになんて目もくれないのに。
主人公の思いが、ストーリーの主軸になっている…とは言い切れないほど、様々な登場人物の「事情」が折り重なる。
わざわざデリヘル嬢の待合部屋を舞台にしなくてもいいんじゃないか、と思うくらいに、それぞれには事情があり、言えないことがあり、抱えている問題がある。
その中で、主人公のカノウ(伊藤沙莉)の思い・人生の問題は、相対的に「軽い」と言わざるを得ない。
しかし人それぞれに、重さの感じ方は違う。
最後にカノウが号泣しているように、自分の置かれている状況や立場、未来の見えなさに、それぞれに絶望して、逃げ道を探している。
人生が続く限り、割り切れないものは必ず出てくる。
それを感じさせる、やるせないけどどこかスッキリさせてくれるような、不思議な作品だった。
ネットフリックスで観ました。
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