出世=家族の幸せと考えるマイケルは、愛するドナや二人の子供と過ごす時間よりも仕事を優先させてきた。そんなある日、電化製品だけでなく人生さえも自在に操れる夢のような”万能リモコン”を手に入れる。そのリモコンで家族との面倒な時間や、出世までの道のりを早送りするマイケル。すべてが夢に見た通り、面白いように人生が進んでいく。しかし、早送りしたことで失われた時間の代償は大きかった…。果たしてマイケルは、本当の幸せをつかむことが出来るのか!?
原題は『CLICK』。
「万能リモコン」や今や古めかしいとも言えるインターフェイスはその時代を映す鏡だが、夢に見た通りに進む人生は順風満帆なようだが、その代償を贖えるほどの準備ができるような、そんな慎重さまでは用意してくれない。
我々の人生も、「思い通りに進めれば順調」という風潮が溢れ、そこから外れたら脱落、とでも言わんばかりの「勝ち組・負け組」二元論が充満している。
かけがえのないものは、予定調和の中からは生まれない。
自分が命を失うとき、本当に大事だったものを思い出す。
生きている時には調子に乗って、自分の力で世界が動いているのだとでも言わんばかりの勘違いをしているだけで、自分でなんでも取り戻せる、取り返せる、手に入ると思っているだけなのだ。
本当は、周りの人がいないと何もできないし、無力でしかない。
大切にするものの順番を間違って、それを他人のせいにして生きている。
本当に大切なものはなんだったのか、インターフェイスは古いが、しっかりと教えてくれる良作。
アダム・チャンドラーが、やはり素晴らしい。
Amazonで見ました。