Where Are We Now?

僕らは今、どの辺にいるんだろ?

ゴジラをぜんぶ観る。

ゴジラをぜんぶ観た。

投稿日:2016年10月3日 更新日:

この夏は、「ゴジラの夏」でした。
それはこの2016年に公開された「シン・ゴジラ」の話題から、そういえばゴジラ映画を、一作も見たことがない、全部で何作あるのかも知らない、という自問自答から始まったのでした。

なぜ、新しいゴジラに、否定的な人がいるのか。
「ゴジラ的なるモノ」とは一体なんなのか。

それを知るべく、1954年から、順に見ていきました。
設定として、戦後まもない頃に構想され、生なましさのまだ残る時代。
戦争(核)の落とし子として、再度日本を恐怖に陥れたゴジラ(初代)。

それは、日本はもう、怪獣が壊すほどの復興を果たしているのだ、という意地の表明であったのかもしれません。

その後、ヒーローもの・テレビの台頭により、スクリーンで暴れるゴジラに、色濃くその影響がではじめる時代。

政治色やテーマが、大幅にブレる時代も経験します。
動員人数が100万人を切ってしまい打ち切り終息した後も、復活を果たすのは「ゴジラっていいよね」というファンが根強く育った(あるいは制作側の世代交代が起こった)ことによるものだったのでしょうか。

2000年代を迎えて、特撮技術、CG合成の発達具合は目覚しいものがあるものの、やはりストーリーの部分では、苦労しているなぁ、という感想がこぼれます。

それは、「ゴジラがいる世界」を描くが故の、「あっ!ゴジラだ!」から始まる既視感。
既視感がある以上、人間側の設定によるドラマを描くことになり、「先輩の死を乗り越える」だの「死なないで!」だの、極小の感情劇が盛り込めるだけ盛り込まれてしまい、「ゴジラの意義ほぼゼロ」という作品に必然的になっていく宿命を負っていたのでした。

第三作キングコング対ゴジラで1255万人の動員を数えたゴジラは、第十五作「メカゴジラの逆襲」で97万人にまで数字を下げてしまい、いったん終了。
復活すると300万人越えを連発したものの、2004年の「ゴジラ FINAL WARS」では100万人を維持するのがやっと。で、12年を経ての新作(「シン・ゴジラ」)。

 

ゴジラ乱暴箇条書き

今回、ゴジラ全作品を見て、ものすごく乱暴に思ったことを手短に、箇条書きにしておきます(追加の可能性あり←思い出したら)。
・第一作以外の、シナリオの苦心惨憺ぶり。
・ゴジラは一時、着ぐるみトカゲのおっさんだった。
・セリフが浮世離れしている。
・超科学至上主義。
・モスラが強すぎる。
・メカゴジラは役に立たない。
・というか兵器をゴジラ型に作るな。被害が二倍になる。
・意外な役で長澤まさみが出ている。

 

2016年に思うこと。

改めて思うのは、「これらすべてのゴジラシリーズを踏まえた新ゴジラ」を新たに作ることなど不可能だった、ということ。

作るなら「ゴジラがいない世界(つまり初作以前の世界観」)にするしかない。
ゴジラシリーズ全作品を観た者なら、そう結論づけることになるでしょう。
おそらく、「シン・ゴジラ」の庵野監督も、そういう結論に至ったのでしょう。

「なんだ!あれは!」の世界。
「あっ!ゴジラだ!」ではない世界。

そうしないと、「恐怖」が表現できない。
で、全ゴジラシリーズに希薄で、描きようがない苦労が見えた「政治的決断」という場面。
指揮系統の不明なまま、地域が壊滅するような奇抜な作戦を次々に、なんと「民間人主導」でバカスカやってきた自衛隊でしたがw、まっとうに「歩く災害」たるゴジラに対処しようとしたら、「シン・ゴジラ」のように対策を練る政府、を描くのが至極まっとうだと思います。

だから「シン・ゴジラ」が描いていた政府や官房のあの「会議劇」は、ゴジラ対策をする上で、ゴジラを語る上で、欠くことのできないリアリティだったのです。

そういう「会議」「政治」「日本ぽさ」を揶揄し、批判している人も少なからずおられるようですが、全く的を得ない、トンチンカンな意見と言わざるを得ません。

どうせ(だって個体が一匹かどうかもわからないんだし)完全なる退治は不可能なスーパーモンスターですから、結局は「で、人間はどうするんだい?」しかないんです。

どんな被害が出ようが、ヒロインが死ぬとかヒーローが活躍するとかどうでもいい。
実際は、「で?人間はまず、行政が対処するんだろ?」から始まるんです。
仮想敵国をオーバーラップさせながら見る政治劇・治安出動・民間の団結など、フィクションだとは言いながらも「実際に起こったら自分はどの立場だ?逃げるだけか?」とさえ思わせてくれる、秀逸な現実味が「シン・ゴジラ」にはありました。

 

 

ゴジラシリーズ早見表

タイトル 公開年 動員数 興行収入
 第1作  ゴジラ 1954年 961万人  1.6億円
 第2作  ゴジラの逆襲  1955年  834万人  1.7億円
 第3作  キングコング対ゴジラ  1962年  1255万人  4.3億円
 第4作  モスラ対ゴジラ  1964年  722万人  3.1億円
 第5作  三大怪獣 地球最大の決戦 1964年  541万人  3.9億円
 第6作  怪獣大戦争  1965年  513万人  4.1億円
 第7作 ゴジラ・エビラ・モスラ 南海の大決闘  1966年  421万人  3.3億円
 第8作  怪獣島の決戦 ゴジラの息子 1967年  309万人  2.6億円
 第9作  怪獣総進撃  1968年 258万人  2.3億円
 第10作  ゴジラ・ミニラ・ガバラ オール怪獣大進撃  1969年  148万人  2.6億円
タイトル 公開年 動員数 興行収入
第11作 ゴジラ対ヘドラ 1971年 174万人 3億円
第12作 地球攻撃命令 ゴジラ対ガイガン  1972年  178万人  3.2億円
第13作 ゴジラ対メガロ  1973年  98万人  2.2億円
第14作 ゴジラ対メカゴジラ  1974年  133万人  3.7億円
第15作 メカゴジラの逆襲  1975年  97万人  3.3億円
第16作 ゴジラ  1984年  320万人  17億円
第17作 ゴジラvsビオランテ  1989年  200万人  10.4億円
第18作 ゴジラvsキングギドラ  1991年  270万人  14.5億円
第19作 ゴジラvsモスラ  1992年  420万人  22.2億円
第20作 ゴジラvsメカゴジラ  1993年  380万人  18.7億円
第21作 ゴジラvsスペースゴジラ 1994年  340万人  16.5億円
第22作 ゴジラvsデストロイア  1995年  400万人  20億円
第23作 ゴジラ2000 ミレニアム  1999年  200万人  16.5億円
第24作 ゴジラ×メガギラス  2000年  135万人  12億円
第25作 ゴジラ・モスラ・キングギドラ 2001年  240万人  27.1億円
第26作 ゴジラ×メカゴジラ  2002年  170万人  19.1億円
第27作 ゴジラ×モスラ×メカゴジラ  2003年 110万人  13億円
第28作 ゴジラ FINAL WARS 2004年 100万人  12.6億円
第29作 シン・ゴジラ  2016年  230万人↑ 33.8億 ↑
第30作 GODZILLA  2017年  /  /

アメリカ版

GODZILLA 1998年 51億円 360万人
GODZILLA ゴジラ 2014年 32億円 218万人

 

 

2017年にはまた、新しいゴジラが公開されるそうですね。
これがまた「着ぐるみの正義のトカゲのおっさん、ミニラもいるよ」みたいな感じだったら面白いなあwwwwww

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

-ゴジラをぜんぶ観る。
-

執筆者:


comment

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

関連記事

怪獣総進撃

宇宙人はこの時代、「銀色の全身タイツ」に確定。

怪獣島の決戦 ゴジラの息子

とうとう、ミニラが出てきてしまいしたww

ゴジラ FINAL WARS

いよいよ、最後のゴジラ。

ゴジラ モスラ キングギドラ 大怪獣総攻撃

「ゴジラから日本を守るために復活した古代の大和怪獣」

ゴジラVSキングギドラ

そんなエピソードあるんですかね。

読まれている記事ランキング

モバイルバージョンを終了